対象外でも恋咲く
紗和の後ろ姿を見送った弘人は、大きくため息をついて、紗和の分までのサラダを食べる。

食べてから帰ってくれても良かったのに…告白されて断ったあとはいつでもテンションが下がる。

好きになってくれるのはありがたいことだけれども、相手が望んでいる返事を返せることは少ない。悪いことをしてるのではなくても、罪悪感が残る。

紗和をかわいいとは思っていたが、それはやっぱり後輩としてであって、恋愛出来るか? ともう一度考えてみたけど、出てくる答えは変わらずノーだった。


好きな人……瞳に惹かれてきているのは感じてはいるけど、これ以上踏み込んではいけないと気持ちにセーブをかけている。

封印すれば大丈夫と。



瞳も同じように封印しなくてはいけないと思っていた。弘人と食べたラーメンが食べたくなり、ラーメン屋に足を向けていた。


『占うことで救われるかもしれません』


ラーメン屋の手前にある『春子の部屋』の看板で瞳は、立ち止まる。この前、弘人と通ったときは休みだったのか、看板も出てなければ、明かりもついていなかった。
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