対象外でも恋咲く
占ってもらった時と違う客寄せ看板だが、今の瞳に必要と思われる看板に導かれるように進み、『春子の部屋』のドアを開ける。


「いらっしゃい。あら、随分と疲れた顔をしているわね。ほら、お座りになって。今、ハーブティーを入れてあげるから」


「ありがとうございます…」


「ほー」


占い師が奥に入っていくと白ふくろうが鳴いたので、瞳は、ふくろうを見て目を細めた。


「今日もかわいいね」


褒められたふくろうは満足そうにもう一度鳴く。


「はい、どうぞ。気持ちを落ち着かせてね」


「はい、ありがとうございます」


瞳は、占い師の淹れたハーブティーにフーッと息を吹きかけてから、ゆっくりと飲む。

この部屋に入ってきたときの強張った表情がなくなり、穏やかな目になったのを占い師は見て、うんうんと頷いた。


「さてと…」


占い師は水晶玉を台の上に置いて、眺める。瞳に何も聞かなくても映し出されるもので、今の状況が分かるようだ。
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