対象外でも恋咲く
恋だと認めても
弘人は悶々とした休日を過ごして、さらに悶々として、出勤をした。営業1課のフロアに入り、真っ先に瞳のデスクを見る。

まだ出勤していなかったことに安心したものの、ガッカリした気分にもなった。

自分のデスクに行き、パソコンの電源を入れる。


「小沢さん、おはようございます」


「あ、菊池さん。おはよう」


瞳のことばかり考えていて、紗和とのことがすっかり抜けていたことに気付き、後ろめたい気分になる。いろんな感情が入り乱れる。

今日から1週間が始まるというのに、早くも疲れそうな予感。


「私、この前後悔したんです」


「えっ? 何に?」


「ちゃんと食べてから帰れば良かったと。家に帰ったらものすごくお腹が空いちゃって」


食べることを忘れて帰るくらい振られたことはショックだったが、諦めないと言っただけあって、いつもよりも明るい声で弘人に話し掛けた。

もっといろいろ話して、もっと自分を知ってもらおうと考えてた結果である。可能性はゼロではないと信じて。
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