対象外でも恋咲く

二人は端の席で誰にも気付かれないようこっそりと手を重ねていたが…その光景を目にしてしまった瞳の心は紗和とは反対に落ち着かなかった。

瞳は偶然見てしまったのではなく、ミーティング中、ずっと弘人を後ろから見ていたから弘人が紗和の手を握る瞬間にもすぐに気付いた。

弘人への気持ちが自分の中でまだ信じられなかったが、紗和と親しそうにしているのを見て、ショックを受けていた。

他の女を見ないで…優しくしないで…触れないで…、私を見て。

自分の気持ちを明確にしていいのかと悩んでいたが、他の女に触れる様子を見て、嫉妬していた。

もし、弘人が欲しいのならがんばらなくてはいけない？、「がんばりなさい」という占い師春子の言葉が脳裏に浮かぶ。

でも、どうやって頑張ったらいいのか…瞳の心は葛藤する。


そんな中、弘人と紗和は前に出て、発表を始めた。

瞳には発表の内容が頭に入らなかった、ずっと弘人の表情だけを見ていた。