対象外でも恋咲く
「あ、ごめんなさい! つい……」


気付かれたことに恥ずかしくなった瞳は、頬を赤くして視線を床に落とす。

弘人はそんな瞳がかわいくなり、口元を緩ませた。


「高畠さん、明日の夜、空いていたらラーメン食べにいきませんか? 駅と反対側の方向なんだけど、美味しいとこがあるんですよ」


弘人は瞳を避けるようにしていたが、昼休みに近くの定食屋に入る瞳を見て、一緒に食事がしたいと思った。

誘うならラーメンだろうなと勝手に決めたのだが……


「空いているけど、ラーメン?」


ラーメン屋ばかりに女性を誘うのはいかがなるものか……瞳は誘われたことを嬉しく思ったが、ラーメン屋だと食べ終わったらすぐに帰るのが予想できるし、のんびり話も出来ない。

それは嫌だなと思う。


「あ、ラーメンじゃないほうが良かった? 何か食べたいものありますか?」


表情を曇らせる瞳を見て、弘人は希望を聞く。


「えっ? あ、ううん! ラーメンでいいよ。小沢くん、おすすめのお店教えて」


瞳が慌てて返したとき、ドアがガチャと開いたので、二人はドアの方を見る。
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