対象外でも恋咲く
欲しいと思っても
自分のデスクに戻った弘人はすぐにパソコンのメールボックスを開き、新規メールを作成する。送り先は真後ろにいる瞳である。

紗和に邪魔されてしまったが、瞳と食事をしたいという気持ちは変わらない。だから、すぐに伝えようと思った。


『今夜、残業になる予定ですが、高畠さんももし残業になるなら、一緒に帰りましょう』


明日と食事にと誘ったが、今夜にして、食事ではなく一緒に帰ることにした。

先に戻っていた瞳はすぐに新着の受信に気付く。そして、開いて目を丸くした。

まさか、プライベートなことが送られてくるとは思わなかったから驚くしかなかった。それに明日ではなくて今夜だとは……。

悩みながらも返信する。


『今日中に集計をしなければいけないものがあって、いつ終わるか分からないので、一緒には無理だと思います』


弘人は返事を確認したが、それには返さないでパソコンを閉じて、カバンを持って、外出した。

瞳が遅くなるなら終わるまで待とうと決めて。
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