対象外でも恋咲く
「お願いがあります」
紗和は廊下の端で弘人と向き合ってすぐに頭を下げた。
「えっと、なに?」
内容を聞かないと返事も出来ない。
「明日の夜、私と一緒に過ごしてくれませんか? 食事をしたりとか」
ミーティングのあとも誘われて断ったはずなのに……また言ってくるのはなにか理由が?
「なんでそんな切羽詰まっているの?」
「明日、………なんです」
肝心なところが聞き取れなかった弘人は、「今、なんて言った?」と、聞き直す。
「私、誕生日なんです」
「明日、菊池さんの誕生日なの?」
紗和は大きく首を縦に振った。
「じゃ、申し訳ないけど尚更、一緒には無理だ。ごめん……」
一人で過ごす誕生日の夜は寂しいから、気持ちがなくても好きな人にそばにいて欲しかった。
でも、断る弘人の中に優しさを感じて、「わかりました」と返して、階段を降りる。いつもならエレベーターを利用するが、階段が近くにあったこともあり、より早く弘人の前から去りたいと思った。
紗和は廊下の端で弘人と向き合ってすぐに頭を下げた。
「えっと、なに?」
内容を聞かないと返事も出来ない。
「明日の夜、私と一緒に過ごしてくれませんか? 食事をしたりとか」
ミーティングのあとも誘われて断ったはずなのに……また言ってくるのはなにか理由が?
「なんでそんな切羽詰まっているの?」
「明日、………なんです」
肝心なところが聞き取れなかった弘人は、「今、なんて言った?」と、聞き直す。
「私、誕生日なんです」
「明日、菊池さんの誕生日なの?」
紗和は大きく首を縦に振った。
「じゃ、申し訳ないけど尚更、一緒には無理だ。ごめん……」
一人で過ごす誕生日の夜は寂しいから、気持ちがなくても好きな人にそばにいて欲しかった。
でも、断る弘人の中に優しさを感じて、「わかりました」と返して、階段を降りる。いつもならエレベーターを利用するが、階段が近くにあったこともあり、より早く弘人の前から去りたいと思った。