対象外でも恋咲く
「紗和だけど……明日の夜、帰ろうと思うの。ケーキ焼いてくれる?」
子供の頃から誕生日には母親がケーキを作ってくれて、それでお祝いをしてくれた。だけど、大人になって友達や男と過ごすことも多くなり、母親のケーキでお祝いをしてもらうことがなくなっていた。
毎年、母親からはケーキを焼くから帰ってきてと言われていたが、断っていた。今年も断っていたが、ふと手作りケーキが食べたくなった。
誕生日にケーキを作ってもらうのは何年振りだろう……。
「待ってるわね!」と弾む母親の声に「うん」と笑顔で返して、紗和は穏やかな気持ちで階段を降りていった。
「終わった……」
「終わりました?」
瞳は入力を再開させてから45分後に全てが終わった。弘人は、背後から聞こえた瞳の声に問いかけた。
瞳は弘人のほうに顔を向けて、「うん」と頷く。
「俺も終わったので、帰りましょう」
二人は並んでオフィスを出て、駅とは反対方向に歩き出した。行き先はラーメン屋ではなく、イタリアンレストラン。
弘人は、外出した時に予約をしていた。
子供の頃から誕生日には母親がケーキを作ってくれて、それでお祝いをしてくれた。だけど、大人になって友達や男と過ごすことも多くなり、母親のケーキでお祝いをしてもらうことがなくなっていた。
毎年、母親からはケーキを焼くから帰ってきてと言われていたが、断っていた。今年も断っていたが、ふと手作りケーキが食べたくなった。
誕生日にケーキを作ってもらうのは何年振りだろう……。
「待ってるわね!」と弾む母親の声に「うん」と笑顔で返して、紗和は穏やかな気持ちで階段を降りていった。
「終わった……」
「終わりました?」
瞳は入力を再開させてから45分後に全てが終わった。弘人は、背後から聞こえた瞳の声に問いかけた。
瞳は弘人のほうに顔を向けて、「うん」と頷く。
「俺も終わったので、帰りましょう」
二人は並んでオフィスを出て、駅とは反対方向に歩き出した。行き先はラーメン屋ではなく、イタリアンレストラン。
弘人は、外出した時に予約をしていた。