しましまの恋、甘いジレンマ。

一息ついて特にすることもないので志真は二階へあがる。
知冬は一階で眠る。布団は来客用らしき未使用のものがあったので拝借。
でも押し入れの奥にしまい込まれていたせいか若干かび臭い。

明日は布団も買いに行く必要がありそうだ。

「……本当に、なんでこうなった」

若干涙目になりながらも疲れていたせいかいつの間にか眠り、
その日を終える。


「自分が行動する範囲のみで部屋の整理をしました」
「そうですか。どうぞお好きに。おばさんにも許可は得ていますので」

もちろん、それは志真だったらの話だけど。
朝を迎えて一階へ降りるとリビングが綺麗に整頓されていた。
おばさんは几帳面な人なので元から汚かった訳ではないけれど

ただモノを捨てられないという癖のある人でもあって
綺麗に整頓された明らかに要らないものがその辺に山積み。
それが綺麗に片付いている。
捨てた訳ではなくて収納してくれただけだろうけど。

「今日から徐々に荷物を運び込みたいと思っているんですが」
「荷物は多いですか?お手伝いしますよ?」
「いえ。着替えが少しと後はパソコンと画材くらいなので」
「少なっ」
「現地調達したほうが荷物が軽くていいでしょう」
「なるほど」
「俺のほうが先に仕事が終わると思うので、鍵を貸してもらえますか。
借りている部屋から荷物を持ってきます」
「は、はい」

せっかく部屋を借りたのに勿体無い。よかったらその部屋、私が住んでもいいですか?
と思っているが口にはしない志真。
家の鍵を渡して朝食は昨日コンビニで買ってきたパン。

「……」
「…何か。あ、アンパンは私のものです」
「……、トースターも欲しいですね。是非買いましょう」
「……はい」

やっぱり焼いてないトースト丸かじりは良くないよね。

この生活は足りないものだらけだ、本当に。

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