しましまの恋、甘いジレンマ。
「俺の布団で寝てるのは、そういうコトと思ってもいいですか?」
「…え…え?」
知冬さんの布団?
志真は身動きが取れないなりに視線を向けると確かに布団がある。
全然記憶にないけれど、強烈に眠くなって無意識に庭に干していた布団を
自分のだと思って持ってきたが彼の布団だった、ということ?
どっちにしろこれは不味い。
「志真」
「わ。わっ。ま、まってっ」
首筋にキスをされてこそばゆくて足をジタバタ。肩をバンバン叩く。
「……」
それで動きは止まったけれど、じーっと見つめられている。
「あ。あの。実は家には決まりがあるんです!」
「……決まり、ですか」
「そう!け、結婚するまではそういうことはしないって」
「え?それじゃ体の相性はどうやって?」
「そ、それは。それは後で…ね?」
そんな恥ずかしいことを堂々と言わないで。
その言葉にどうやって返事をしたらいいか分からなくなるから。
顔が自分でも分かるほど熱くて視線が泳ぐ。
今は知冬をちゃんとみれない。あまりにも距離が近すぎて。
「分かりました」
怒っている様子はないけれど、
今の時代にそんな話をして面倒な奴って思われたかな。
外国の人ならその辺はきっともっとオープンなんだろうし。
新野先生が言っていたようなソレ目当てじゃないにしても。
「…知冬さん」
「キスはいい?」
「は、はい。あ、そういえば朝私は何を言って」
その体勢のまま問答無用でぎゅううっと抱きしめられてキスされる。
最初は触れるだけの優しいもので志真もドキドキして嬉しかったのだが、
ゆっくりと彼の唇が動いてきて下唇を食まれ、全体的に吸い付かれる。
流石にこれ以上はしないよね?無理ですよ?ついていけないよ?
怯えたような眼差しを向けると僅かに唇が開いて
「……キスは、いいんですよね」
「…げ…限度があり」
また塞がれる。
無理!無理!こんなの無理!
なんとか逃げようと抵抗し活発に動く志真の両手をぎゅっと優しく握って。
それでも知冬のキスは終わってくれない。まだ舌を絡めてこないだけいい?
ちょっと涙目になってきた志真だったがとうとう観念したのか、諦めたのか。
いつの間にか大人しくなって、知冬が掴んでいた手を離すと彼女の手は
今度は愛しそうに知冬の体をぎゅっと抱きしめていた。
「契約を更新してもいいですか?」
「え?…も、もう、契約なんて」
キスだけでこんなに愛されたのは初めて。恥ずかしいけれど、内心悪い気はしない。
体を起こし、知冬と少し距離をとって少し乱れた服を直す。
「そうですか。では、俺は志真を何時でも何処でも自由に」
「しましょう!契約更新!きちんと話し合いましょう」