しましまの恋、甘いジレンマ。

手を繋いで仲良く戻ってきたらすっかり和気藹々とした宴会場。
その後、日を改めきちんと結納を交わした。
もちろん面会出来るようになったおばさんにそのことを報告。
涙ながらに喜んでくれてしまってこっちまで涙がぽろぽろ。


「絵が完成したんですね」
「君に」
「……、頂きます」

月日は流れて、入院していたおばさんが退院する日が近づいていた。
知冬が庭で作業をしていた絵もそれに合わせるように完成。

そして彼が講師の任期を終え惜しまれつつ帰国する日も、間近。

「……」
「知冬さんだと思って大事にします。ちなみにですけど、これをもしもトモエさんに
見せたら10万くらいにはなる?深い意味はないですけどね?なんとなくですけど」
「もっと価値はありますよ。でも、俺だと思ってくれるんですよね?」
「思います大丈夫です冗談です」

でも正直、これってちょっとした資産になるかも。とか頭をよぎった。

「これも」
「指輪」
「ほら、君は簡単に人に笑顔を見せてその気にさせそうだから」
「さらっと人を傷つけるのヤメテって言ってますよね?」
「それくらい魅力的だということです。…つけていい?」
「はい」

志真の手を取り指輪をそっとはめて、微笑み合う。
私達の新しい関係は始まったばかりだ。

「Depuis le premier jour, je taime.」
「ふふふ。…何ですか?愛してるって?」
「…そう、愛してる。ずっと前から、ね。ほら。志真。時間は迫っている。
その間出来るだけ多く君を口説くよ」
「じゃあ。私と紅茶飲みに行って。私のおすすめのお店」
「あー…部屋で休憩しません?」
「しない。紅茶飲むの。絶対飲むの!ミルクティ飲むの!一緒に!」
「Oui。Oui。…行きましょう、君の怒った顔もまた魅力的だ」
「…そ、そういういきなり口説きモードはやめましょうね!」

まだ彼との未来が見えてないと思っていたけれど、
フランスへ行くための必要な物は何かとか駅前留学しなきゃとか、
家でも勉強するのに教材を買おうとか、結婚情報誌を読んでみたり
もうすっかりその気で計画を立てている自分が居る。

指輪の魔法だろうか。それとも口説きの成果?

まだまだ課題は多いし乗り越えられる自信も微妙なところだけど

「志真?」
「…私だってやれば出来るって所を見せてやりますからね」
「そうですか。期待してます」

でも私、きっと知冬さんと幸せになる。


【おわり】
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