heart slip
ガラガラ……
今まで騒がしかった教室が静まり返る。
そりゃあ静まるだろうな。
いきなりクラスメートがそこそこ可愛い子をお姫様だっこして遅刻してきたら何事かと思うよな。
周りの視線が痛い。
冷静を装って茜を席へ座らせる。
さすがにひとりじゃ無理だな。
俺は近くの奴に助けてもらいながら、なんとか茜を席に座らせることに成功した。
自分の席へ戻ろうとしたら、
「ふわぁ~」
なんともマヌケな声と共に茜が目を覚ました。
「あれ?さっきまで明と……」
俺は慌てて茜の口をふさいだ。
なんかふがふが言ってるし。
茜がおとなしくなったので手をどけた。
「明!!さっきまで私達トイレにいたのに何で教室にいるの?」
あ~あ。
みんなに何て言い訳しよう……。