heart slip

~雄也~

ったく今日はマジでツイてねぇ。

遅刻したのをヅラ教師に見つかるし。

ヅラのせいでせっかくセットした髪はぐしゃぐしゃ!!

その悲惨な姿のまま後ろに立たされるし。

しかも茜たちと一緒に来たのに、俺だけ捕まってあのの2人はトイレでイチャイチャタイムかよ……。

わぁー―!!

マジでツイてねぇ。

これ以上嘆くのも馬鹿みてぇだから、近くの席の奴の話を聞いてた。

「茜と明って仲いいよな~!!俺もあんなことやりてぇ~!!」

「あんなことされたら、もう茜と話すことすら緊張するよなー」

「ありゃあ茜に手出したら明に殺されるな、確実に」

やっぱりそう思われてるのか?

あいつが来るまで、その言葉は俺だけのものだったのに。

あいつが来てから俺は色んなものを失った。

だからこそ、今度の勝負で明に勝たなきゃ、俺はただの負け犬だ。


絶対に勝つ――。


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