heart slip

授業が始まり、私の心も教室内も静まり始めた頃、優美に背中を叩かれた。

後ろを振り返ると、小さく折り畳んだ手紙を渡された。

話題といえば、“あの事”以外に思いつかない。

マジで勘弁してよ……。

私は恐る恐る、手紙を開けた。

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トイレで何やってたの?
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トイレ……。

自分でも顔が赤くなっていくのがわかる。

『胸を触られた』

なんて、書けるわけないっ!!

ここは無難に……。

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明が友達に、『先生が教室出たらメールして』ってメールしてくれた!!
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これでよし。

これだったら嘘じゃないし。

私は、自分の背もたれとパイプの間に手紙を挟んだ。

こうすれば、優美の好きなタイミングで読めるし、手渡しよりも見つかる確率が低い。

ノートの隅に、キモカワなネコを書いてたら、背中を叩かれた。

返事書くの早っ!!

私はそっと、椅子に挟まれた手紙を抜き取り、手紙を開いた。

そこには、全く予想していなかった言葉が書かれていた。


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