heart slip
各クラスの第一走者がスタートラインにつく。
うちのクラスの女子チームは、優美がトップ、私がアンカーを務める。
緊張するなあ……。
だんだんと胸の鼓動が早くなっていくのを感じる。
もうっ!!落ち着け!!
大会でこんなに緊張したことなんて無かったのに。
やっぱりクラスみんなの期待がかかってるからかもしれない。
よーい……。
パァン!!
鉄砲の音が校庭に響くと同時に、5色のはちまきがトラックを駆け抜ける。
私達のクラスのはちまきの色は青、今のところ3位だった。
あっという間に最終コーナーを曲がり、次の子へバトンを渡す。
他のチームに比べ、個人個人のタイムが劣る私達は、スムーズなバトンパスを武器にして、そこで差をつけるしかない。
優美はバトンゾーンに入っても、減速することなくバトンを渡した。
そうやってみんなが順調に走って、確実に縮めてきた差を使って1位になるはずだった。
そうやって全て上手くいくはずだった。