heart slip

頭が真っ白になっていくその時、私の耳に入ってきたのはクラスの声援だった。


そうだ。

こんなところでみんなの努力を無駄になんてしない!!

まだ先頭の集団はバトンを渡し終えたばっか。

まだ取り返せる!!

いや、取り返す!!

立ち上がった時に足が痛んだけれど、みんなのことを思えばこれ位大したことない。



『ピンチはチャンス』

って言葉は本当みたい。

自分でも驚くくらいのスピードで、1位との差を縮めていく。


あともう少し…

あともう少しなのに、抜かすことができない。

ゴールは目前に迫っていた。


1位との差は3㍍くらい。

ゴールまでは10㍍。

絶対に勝ってみせる!!


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