緋色の涙
1章
俺には好きな女が居る。
腰まである白銀の髪に。
すらりと伸びた手足。
形のよい唇。
緋色の瞳。
何よりも惹かれたのは…。
笑顔だった。
俺にも向けて欲しいと思った。
長い間片思いをしてきた。
常に見守って来た。
それなのに、まさか海に見投げするとは思わなかった。
思わず。
「死ぬな」
って言ってた。
死ぬぐらいなら、俺にその命をくれ。
俺が守ってやる。
絶対に傷付けない。