次期社長の甘い求婚
ふと掛け布団をめくってみると、昨日着ていた洋服のまま。

おもむろに両手で顔に触れれば、カピカピ。


「本当に最悪……」


服はしわしわ。メイクも落とさず寝たせいでお肌もカピカピ。


とりあえずこのままずっとベッドで寝ているわけにもいかないと思い、起き上がり広すぎる部屋を歩いて見回してしまう。


広々とした部屋にこの高級感溢れる造りと家具を見ると、どう見ても私は易々と止まれるような場所ではない。


カーテンを開け景色を見れば、都会のビルを見下ろすことができる。


こんなところ、普通に生きていたら二度と泊まれないだろうな。


申し訳ないと思いつつも、こうなってしまえば、とことん神さんに甘えてしまおうと腹を括り、バスルームへと向かった。


朝食も着替えも用意してくれたなら、一度家に戻ることなく出社できるし。

二日酔いで頭が痛いし身体はけだるいけれど、熱いシャワーを浴びればスッキリするかもしれない。


バスルームに入ると、まずアメニティの高級さに驚き、大きな鏡に映る自分の姿にも驚愕してしまった。


「こっ、これは酷い……」
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