次期社長の甘い求婚
あのままひとりで過ごしていたら、顔はもっと酷いことになっていて、今日会社を休んでしまおうとしたかもしれないもの。


辛いときに誰かそばにいてくれる――それだけで、気持ちはこんなにも違うなんて初めて知った。


とにかく神さんに迷惑をかけてしまったことを謝罪しないと。

それとできれば“ありがとう”と伝えたい。


今はまだ正直辛いけど、それでも前に進もうと思えているから。
このままじゃいけないって。


どんなに苦しくても鈴木主任の結婚式は迫ってくるんだ。


だったら腹を括って、昨日みたいに笑顔で出席したい。

ちゃんと笑って“おめでとうございます”って伝えないと。


好きな人だからこそ、幸せになって欲しいと切に願ってしまうから……。




それから時刻通りに豪華すぎる朝食が届き、普段自分では買って着ない服が渡された。


おまけに腫れてしまっていた目元を危惧してか、神さんってばメイクさんも手配してくれていて、プロの手にかかれば嘘のように目立たなくなり、いつもとは違うメイク法に自分じゃないように仕上げてくれた。
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