次期社長の甘い求婚
真剣だって伝わってくるからこそ、聞きたい。

どうして私なの? 神さんならいくらでも他に相手がいるでしょ? それこそ私なんかよりもっと相応しい人が。


震える声で問いかけると、神さんは表情を綻ばせ、少しだけ首を傾げた。


「それを聞かれると、上手く伝えられないんだけどさ。……でも美月を好きになって思ったんだけど、恋愛ってそういうものじゃないか?」


「え?」


「気づいたら、堪らなく愛しい存在になっているってこと。人を好きになるのに、理由なんていらないと思う。それに理由を並べれば並べるほど、嘘っぽく聞こえないか?」


それは……ちょっぴり頷けるかもしれない。


妙に納得してしまう中、神さんは話を続ける。


「強いて理由を上げるとすれば、放っておけないから、かな?」

「放っておけない……ですか?」


意外な理由に彼をガン見してしまう。


すると神さんは得意気に話し出した。


「そ。……見ていて弱々しいときがある。無理に頑張っているように見えるし、苦しい思いを抱えているようにも見える。そんな美月のこと、放っておけないって思った」
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