次期社長の甘い求婚
【Why?】※なぜですか?
「ちょっと待ってね。あまりの急展開ぶりで少しだけ整理する時間をちょうだい」


そう言って亜紀は、まるで某テレビドラマの警官のように、眉間に手を当て唸り出した。



神さんから告白された二日後の金曜日。

仕事帰りに亜紀とやって来たのは、アジアンテイストのカフェ。


一昨日、神さんと手を繋いで退社したことは、瞬く間に社内中に広まってしまった。

当然亜紀の耳にも入り、この前のことも併せて話しなさいと言われてやってきたのだ。


けれどいざ事の経緯を話すと、亜紀は頭を抱え込んでしまった。


でもそれも無理ないよね。

恋愛小説に例えて言えば、亜紀の知らないところでまさに急展開を迎えていたのだから。


頼んだオムライスを食べながら、亜紀の頭の中が整理されるまで待つこと数分。

勢いよく顔を上げたものだから、手にしていたスプーンを落としそうになってしまった。


「び、っくりしたぁ、なによいきなり顔を上げて」


バクバクとうるさい心臓を鎮めながら問いかけると、亜紀は恐る恐る尋ねてきた。


「つまりさ、まとめると美月はあの冴えない眼鏡のことはキッパリ諦めて、今は恭様に惹かれているってこと?」
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