次期社長の甘い求婚
「言っただろ? 美月のこと本気だって。……それに美月の両親はそうだったかもしれないけど、俺は違うから。どんなことがあっても、美月のこと諦めたくないし、美月も俺のことを好きになってくれるのなら、なにがあっても離さない」


揺るぎない想いに、胸が騒つく。


「だからいつまでも昔の苦しい思いを抱えるな。幸せの定義なんて、人それぞれなんだ。……俺を選んでくれたら、美月が死ぬまで幸せだって思えるほど、幸せにしてやるから。幼少期の思い出なんて上書きしてやる」


「神さん……」


それ以上、言葉が続かなかった。


「まずは美月を振り向かせないとな。でないと有言実行できない」


そう言って笑った神さんに、感情が押し寄せてくる。



私が好きなのは鈴木主任。……けれど間違いなくこのとき、神さんに心を奪われてしまったんだ。

恋に落ちる一歩を、踏み出してしまった。


恋愛対象外だった神さんに……。



その後、神さんは最後まで紳士的にエスコートしてくれて、自宅まで送り届けてくれて帰り際、囁くように言った。


「美月に好きになってもらえるまで、頑張らせて」と――。
< 167 / 406 >

この作品をシェア

pagetop