次期社長の甘い求婚
【Scary I】※怖いんです
「おはよう、美月」

「おはようございます」


早朝、出勤する時刻。

今日も神さんは自宅アパート前まで車で迎えに来てくれている。


「あの、本当に無理されていませんか?」


運転する神さんに問い掛けずにはいられない。

すると彼は、前を見据えたままクスリと笑った。


「それ聞くの何度目? 俺なら大丈夫だから。むしろ美月に会えない方が、仕事へのモチベーション下がるし」


朝から殺し文句を言ってくる神さんに、言葉が出ない。



神さんと休日デートをした日から、早二週間。

あの日から神さんは、都合がつく限りこうして家まで迎えに来てくれていた。


仕事で会えない分、朝だけでも会いたいから……と言われて。


関東営業所での神さんの研修も、残すところあと一ヵ月もないと聞いた。


二回ほど仕事帰りに食事に行った際、神さんが言っていた。

今は必死に営業のノウハウを頭に詰め込んでいると。
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