次期社長の甘い求婚
仕事に対する真義な姿勢も見て取れて、尊敬に値する感情を抱いたりしている。


「今日も美月は定時で上がれそうなの?」

「あっ、はい」


近くのパーキングに車を停め、並んで会社へと向かっていく。


会社近くということもあり、同じように出勤する社員達から毎回視線を集めてしまう。


それもあって、つい挙動不審になってしまっていると、前方から走ってきて自転車の存在に気付くのが遅れてしまった。


「っ危ない!」


すかさず神さんにの手が私の肩に回り引き寄せてくれたおかげで、自転車と接触なんて事態は免れ、自転車はブレーキをかけながらも、そのまま走り去っていった。


「危ないな、歩道を走るなんて」


走り去ってしまった自転車をどこか怒ったように見つめる神さん。


前を見ていなかった私も悪かったけれど、自転車は歩道を走ってはいけないことになっているのに、走っていた向こうも悪いよね。


けれど今の私は、神さんと同じように怒る余裕など持てない。


「大丈夫だったか? 美月」
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