次期社長の甘い求婚
ふたりでしゃがみ込み拾い上げていく。


「でもこれを見ているとさ、会社の歴史が見えてこない? けっこう見ていると面白いし、勉強になるんだよ」


ヘラッと笑いながら得意気に話す鈴木主任に、面食らってしまう。


「だから小野寺さんにお願いしたんだ。まだ入社して一年じゃ、会社のことよく分からないと思って」

「……それは、ありがとうございます」


そうだ、鈴木主任はこういう人。


こんな仕事、普通みんな嫌がるし進んで引き受ける人なんていないはず。

けれど鈴木主任は違うんだ。
喜んで引き受けて、苦痛でしかない片付けも楽しんでしまう。

おまけに勉強もしているくらいだ。


そう思うと、可笑しくて思わず笑ってしまった。


「え、なに? どうしたの、急に笑い出したりして」


当然鈴木主任はなぜ私が笑い出したのか分からず、首を傾げている。


「すみません、鈴木主任らしい捉え方だなと思いまして」

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