次期社長の甘い求婚
神さんに惹かれている。

もし……もし、仮にこのままどんどん好きになっていって、神さんと付き合うようになったとして。


私と神さんも鈴木主任たちのように、幸せな未来へと歩んでいくことができるのだろうか。


お互い知らないことが沢山あるし、なにより私と神さんでは立場が違う。

それこそ私はお母さんと同じ人生、歩もうとしているんじゃないかな……?


今は仕事中だというのに、色々な思いが駆け巡っていき、また手は止まってしまった。


すると鈴木主任も手を止め、聞きづらそうに尋ねてきた。


「小野寺さんだって、今幸せオーラ全開じゃないの? ……俺にはそう見えるけど」


周囲にはそう、見えるのかな?


「私、幸せそうに見えます……か?」


問いかけてしまうと、鈴木主任はすぐに頷いた。


「もちろん。……でもちょっと迷っているようにも見えるかな? それは相手が彼だから?」


探るように覗き込んでくる鈴木主任に、面食らってしまう。


どうして分かっちゃったのかな? あぁ、でも単純に考えれば簡単なことかも。
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