次期社長の甘い求婚
きっと鈴木主任も私と神さんが付き合っていると思っているんでしょ?

そんな私が悩む理由は、それくらいしかないもの。

でもそれは事実だった。


惹かれているはずなのに、一歩踏み出せないのは相手が神さんだからだ。


「あの、ひとつ聞いてもいいですか?」


恐る恐る聞くと、鈴木主任はパッと嬉しそうに表情を変えた。


「俺でよければ!!」


頼られたことが余程嬉しいのか目を輝かせているものの、ちょっぴり聞きづらくなってしまった。

けれど、「早く聞いて」と言わんばかりに私を見る鈴木主任に、ゆっくりと問いかけた。


「えっと、もし鈴木主任が私の立場だったら、不安になったりしませんか? ……釣り合わないんじゃないかなとか、この先の未来とか……」


しどろもどろになりながらも尋ねたものの、鈴木主任は迷いなくすぐに答えた。


「それはないかな。相手のことが好きなら、信じることができるし。なにがあっても一緒にいたいと思うから」


何の迷いもなく話す鈴木主任に、胸を打たれた。
< 179 / 406 >

この作品をシェア

pagetop