次期社長の甘い求婚
「やっぱりそうなのかな? 私は神さんのこと好き、なのかな?」


この日も早速、今日あったことを話しているとすぐにさっきの言葉が返ってきたのだ。


『だから言っているでしょ!? 好きじゃなきゃ悩まないって。いい加減素直になって認めたらどう? 恭様がうちの営業所にいられるのも、残りわずかなんだからね?』


「それは分かっているけど……」


いつまでも煮え切らない私に、電話越しからは亜紀の盛大な溜息が聞こえてきた。


『美月の恋愛に突入するための、最後のスイッチはどうやったら入るわけ? もういい加減入ってもいいんじゃないの? ……あんたの恋愛に対する変な価値観を聞いても、上書きしてやるなんて言ってくれる人、絶対この先現れないと思うんですけど』


わざとらしく言葉に棘を生やして言ってくる。


『でないと、めんどくさい美月の相手に疲れた恭様、あっという間に誰かに取られちゃうからね』


最後に打ちのめすようなことを言って、キャッチが入ったと言い早々と電話を切られてしまった。


「今日もまた、心に刺さることばかり言うんだから」
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