次期社長の甘い求婚
あれだけデレデレしていた表情は、みるみるうちに青ざめていく。

相変わらずな鈴木主任に、やっぱり和まされてしまうな。


「いいえ、そんなことないですよ。自分が悪いんです。仕事中なのに、色々と考え事していたら終わらなくなっちゃって。だから気にせず鈴木主任はお帰り下さいね」


「……本当に大丈夫? まだ少し時間あるし、手伝えるけど」


時計で時間を確認しながら話す鈴木主任に、慌てて手を左右に振った。


「大丈夫ですから! 私のことは気にせず行ってください。もしかしたら彼女さん、もう向かっているかもしれませんよ?」


努めて笑顔で言ったというのに、鈴木主任の表情はなかなか晴れてくれない。


「そう? じゃあ帰っちゃうけど……本当に大丈夫?」


帰ると言っているくせに、そんな顔しないでほしい。

そこが鈴木主任らしいのかもしれないけど。


優しくて部下思い。


用事があるのに、手伝うとか言っちゃうんだから。


オロオロする彼を安心させるように言った。


「本当に大丈夫ですから、気にせず上がってください」
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