次期社長の甘い求婚
するとやっと納得してくれたのか、「じゃあ悪いけどお先に失礼するよ」と言いながらも、数回振り返り、やっとオフィスを後にしていった。


ドアが閉められ、肩を撫で下ろしてしまう。


あんなに気にすることないなのに。


でも鈴木主任のおかげでヤル気出たかも。

私もさっさと終わりにして帰ろう。


気持ちを入れ替え、作業を再開させようとしたとき、斜め前のデスクから声が聞こえてきた。


「相変わらずね、鈴木主任って」

「小川さん」


声を掛けてきたのは、ふたつ上の先輩だった。


私達のやり取りを見ていたのか、呆れたように頬杖をついている。


「小野寺さんにはいつも迷惑かけているから、申し訳ないと思ったんじゃないの?」

「そう、なのでしょうか……?」


すると小川さんはクスクスと笑いながら、話し出した。


「それと心配だったんじゃないかな? 鈴木主任って小野寺さんのこといつも気にかけているでしょ? きっと庶務課の中で一番可愛がっているんじゃないかな?」


「えっ! そんなっ……!!」
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