次期社長の甘い求婚
思いもよらぬ言葉に、動揺してしまう。

それを見て小川さんは、ますます可笑しそうに笑うばかり。


「本当だって。みんなも同じこと思っているんじゃない? ほら、小野寺さん優しいから。鈴木主任のミスにも、いつも呆れずに付き合ってあげているでしょ? だから余計にだと思うよ。きっと妹みたいに思っているんじゃないのかな?」


妹……。


それは以前、鈴木主任からも言われたことだった。


やっぱりそうなんだ。

小川さんの目から見ても、そう見えちゃうんだね。


でも不思議と悲しいという感情は浮かんでこなかった。

むしろしっくりくるというか……。


「それは光栄です。……鈴木主任みたいな兄だったら、私も欲しいと思っていたので」


「えぇっ! 嘘!? 小野寺さんってば正気? あんなめんどくてどんくさい兄貴が欲しいなんて」


面食らい声を荒げる小川さんに、今度はこっちが笑ってしまう。


嘘はない。
鈴木主任みたいなお兄ちゃんなら大歓迎だ。


彼が家族の一員にいたら、どんなに楽しい毎日だったか……。
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