次期社長の甘い求婚
そう思うと、彼のことが愛しく思えてしまう。


「神さんが疲れていないなら、私は大丈夫です」


緩みそうになる口元を必死に抑えながら伝えると、神さんは嬉しそうに顔をクシャッとさせた。


「よかった、悪いけど少し待っててもらってもいいか？　急いでメールだけチェックしてくるから」


言いながら呼び出しボタンを押す神さん。


すぐ戻ってくると分かっているものの、なぜか離れがたいと思ってしまい、なかなか頷くことが出来ない。


エレベーターが到着し、乗り込んだ神さんの後に続いて、私もまた乗り込んでしまった。


「え……美月？」


当然神さんは驚き、唖然としたまま私を見つめてくる。


その視線に居たたまれなくなり目を泳がせてしまう。


「えっと……待っていても暇なので、ついていこうかと思いまして……」


苦し紛れで出た声に、神さんの目は見開いていく。


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