次期社長の甘い求婚
なら、私にできることは……?


「なに? 必死にこれから食べるもの考えているのか?」


なにも言わない私に、やっぱり神さんは無理して笑う。


神さんはいつも通りに振る舞えていると思っているのだろうか。


悪いけど、バレバレだから。
神さんの強がり、分かっちゃうよ。


でも神さんが平気なフリを続けるなら、私もそれに合わせるのみ。
気づいていないフリをしなくちゃ。


自分を奮い立出せ、努めて笑顔を取り繕った。


「神さん、お好み焼きともんじゃ焼を食べに行きませんか?」

「は? お好み焼き?」


まさか私がお好み焼きが食べたいと言うとは思わなかったのか、神さんは拍子抜けしたようにポカンとしちゃっている。


その姿に口元が緩んでしまいつつも、自分から彼の手を取った。


「はい! この近くに美味しい行きつけのお店があるんです」

「おい、美月!?」
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