次期社長の甘い求婚
【You mean so mach to me.】※あなたは私にとって大切な人です
「ノロマ、小心者、意気地なし、ヘタレ美月」


次々と目の前で投げ掛けられる悪口のオンパレード。



昼休み。
久し振りに亜紀とランチを共にしていた会社近くのカフェで、彼女は頬杖をつき、呆れた様子で私を見据えていた。


「やーっと恭様のことを好きって認めたと思って安心したのも束の間、あれから一週間経っているのに、まだ自分の気持ちを伝えていないとか……」


盛大な溜息を零す亜紀を前に、食欲は完全に失われてしまい、手にしていたフォークをそっと紙ナプキンの上に置いた。


「ねぇ、食欲が失せちゃったんだけど」


「そんなの私も一緒。午後の営業に備えて体力つけなくちゃなのに、全然食が進まない」


そんなこと言っているくせに、亜紀は注文した料理を全て完食してしまっている。


食が進まないなんて、嘘じゃないの? ……とは、不機嫌な亜紀にはもちろん口が裂けても言えないけど。
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