次期社長の甘い求婚
疲れていないかな? もし疲れていたら迷惑じゃない? 仕事頑張っているのに、邪魔したくない。


色々な感情に支配されてしまう。


「私もそろそろ戻らないと……」


たった一言「好き」と伝えるだけだというのに、色々考えてしまう気持ちなんて厄介すぎる。

けれどそれが恋愛なんだろうな。


申し訳ないと思いつつも、料理を残したまま重い腰を上げ、会社へと戻っていった。





「鈴木! 頼んだ報告書はどうした!?」

「すっ、すみません! 今すぐ取り掛かります!!」


午後のオフィスに課長と鈴木主任の声が飛び交うと、一瞬にしてみんな視線を奪われてしまう。


鈴木主任が課長に注意されたり、怒られているところを見るのは稀なことではない。

でもここ二~三日、ずっと続いているのだからみんなつい見てしまう。


「鈴木主任、どうしたんだろうね。ここのところいつも以上にミスばかりじゃない?」

「ね、心なしか元気ないように見えるし」


先輩達がコソッと話している内容に頷いてしまう。
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