次期社長の甘い求婚
なんてズルイ聞き方だろうか。

聞かなくても伝わっているでしょ? 好きだから離れたくない、もっと一緒にいたいって。


肯定するように頷くと、神さんは安心したように肩を撫で下ろした。


「良かった。……拒否されたら、どうしようかと思ったよ」


そして心を燻ぶるようなことを言ってくる。

私に神さんのことを拒否できるわけないじゃない。



その後、神さんに連れられてやって来たのは、以前私が酔い潰れてしまった日、宿泊させてもらったホテル。


「どうぞごゆっくりお過ごしくださいませ」


チェックインを済ませると、高級すぎるホテルのラウンジで戸惑う私の元へと戻ってくる神さん。


「美月、お待たせ。行こう」


肩を抱かれ向かう先はエレベーターホール。

歩く床は大理石で光り輝いていて、場違い感が否めない。

そんな私とは対照的に神さんは堂々としていて、こういった場所には慣れている様子。
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