次期社長の甘い求婚
庶務課全員が鈴木主任に注目する中、彼はゆっくりと重い口を開いた。
「まずは最近、みんなにいつも以上に迷惑かけてしまっていたことを、謝罪させてください。……察しの通り、個人的な理由で仕事に身が入らずでした。本当にごめんなさい」
みんなに向かって深々と頭を下げる姿に、みんな顔を見合わせては困惑してしまっている。もちろん私も。
鈴木主任は頭を上げると、言いづらそうに語り出した。
「実は実家が自営業で……。元気だった父親が病気になってしまい、長男として家業を継ぐべきか、このまま東京で大好きな仕事を続けるべきか悩んでいました。それについて彼女とも揉めに揉めてしまって。……色々と思うところがあって仕事に集中できずで」
言葉を選ぶように説明していく鈴木主任に、誰も口を挟むことなく耳を傾けた。
「結果的に退職して実家の家業を継ぐ決心をしました。……彼女とは婚約していて、式場も選んでいたところだったけれど、最後まで意見が合うことはなくて、その……結婚はナシになりました。せっかくみんなにも出席してもらう予定でいたのに、すみません」
衝撃の内容に、誰も声を発することが出来なかった。
嘘、でしょ……? 結婚がなくなったなんて――。
「まずは最近、みんなにいつも以上に迷惑かけてしまっていたことを、謝罪させてください。……察しの通り、個人的な理由で仕事に身が入らずでした。本当にごめんなさい」
みんなに向かって深々と頭を下げる姿に、みんな顔を見合わせては困惑してしまっている。もちろん私も。
鈴木主任は頭を上げると、言いづらそうに語り出した。
「実は実家が自営業で……。元気だった父親が病気になってしまい、長男として家業を継ぐべきか、このまま東京で大好きな仕事を続けるべきか悩んでいました。それについて彼女とも揉めに揉めてしまって。……色々と思うところがあって仕事に集中できずで」
言葉を選ぶように説明していく鈴木主任に、誰も口を挟むことなく耳を傾けた。
「結果的に退職して実家の家業を継ぐ決心をしました。……彼女とは婚約していて、式場も選んでいたところだったけれど、最後まで意見が合うことはなくて、その……結婚はナシになりました。せっかくみんなにも出席してもらう予定でいたのに、すみません」
衝撃の内容に、誰も声を発することが出来なかった。
嘘、でしょ……? 結婚がなくなったなんて――。