次期社長の甘い求婚
【Goodbye forever】※さようなら、永遠に
半月後――。


「美月!」

駅の改札口を抜けるとすぐに聞こえてきた声に、胸が跳ねる。


キャリーバッグを引きながら顔を上げると、神さんが駆け寄ってきてくれた。


「久し振り、美月」

「お久し振りです、神さん」


お互い見つめ合い挨拶を交わしただけで、どちらからともなく笑い合ってしまった。


金曜日の夜。

仕事が終わると同時に会社を後にし、駅のコインロッカーに預けておいたキャリーバッグを片手に、新幹線に飛び乗った。

向かった先は神さんが生活している青森。


先月約束していた通り、彼に会いに来たのだ。


「やっぱり青森って寒いですね。一枚余計に着てきて正解でした」


神さんに荷物を持ってもらい、手を繋ぎながらふたりで、神さんの車が駐車してあるパーキングへと向かっていく。


「だよな。俺も最初こっちに来たときは寒いと感じたし。まぁ、今はすっかり慣れたけどな」


そう言って微笑む姿に胸がキュンと鳴ってしまった。
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