次期社長の甘い求婚
来る前から悩みに悩んだメニューは、夜遅くなるだろうと思い和食に決めていた。


肉じゃがと焼き魚。ほうれん草のおひたしやお味噌汁。即席でできるお漬物。
時間がなかったから、あまり手の込んだものが作れなかったけれど、予想以上に神さんが喜んでくれて嬉しい。


「ごちそうさま、すっげ美味かった」

「よかったです、喜んでもらえて」


食事後、ふたりでキッチンに並んで立ち、使用した食器を洗っていく。
私が洗った食器を神さんは拭いてしまってくれる。


「来月が待ち遠しいよ。毎日美月の作ってくれたご飯が食べられるかと思うと」


頬を緩ませ話す彼に、嬉しさが込み上げてくる。


「それを言ったら私の方もです。……神さんが美味しく食べてくれるから、作り甲斐があります。今から少しでもレパートリー増やしておかないと」


「それは楽しみだな」

そう言うと神さんは、食べたいものを次々とリクエストしてくるものだから笑ってしまった。



それから神さんに「一緒にお風呂に入ろう」と誘われたけれど全力で拒否し、別々に済ませた。

「悪い、美月……平気?」
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