次期社長の甘い求婚
吐息交じりに放たれた色気を含んだ声に、胸が鳴る。


「は……い、大丈夫です」


ベッドの中で身体を重ね、彼のぬくもりに触れるたびに愛しさが溢れて泣きそうになる。


「ごめん、優しくしてやりたいけど、余裕ない」


それでもかまわない。
私ももっと神さんのぬくもりを感じたいから。


両腕を伸ばし、彼の首に絡ませ自らしがみついた。


このままずっと一緒にいたい。なにがあっても離れたくない――ううん、離さないで。


声にならない願いを何度も心の中で伝えながら、与えられるぬくもりに溺れていった。




「いっそのこと、美月とひとつになれたらいいのに、な」

「――え」


ベッドの中で腕枕をしてもらい、神さんが優しい手つきで髪に触れる中、彼らしくない発言に顔を上げてしまう。

すると至近距離にいる神さんは困ったように笑い、私の額にそっとキスをした。


「それくらい美月のこと好きなんだ。……このままずっと一緒にいたい。仕事にも行かずずっと」

「神さん……」
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