次期社長の甘い求婚
肩に回されていた腕の力が強まり、さらにきつく抱き寄せられる。


「来月が待ち遠しいよ。……こうやって毎晩美月を抱きしめて眠れるかと思うと、楽しみで仕方ない」


それは私も同じ。

愛しい人の胸の中で毎日眠りに就けるなんて、想像しただけで幸せな気持ちになってしまう。
今だってこんなに幸せなのに――。


もっと彼の体温を感じたくて、胸元に頬を寄せた。


「私も楽しみです。……神さんと一緒に暮らせるの」

「美月……」


そっと私の名前を呟くと少しだけ身体を離され、キスが落とされた。

啄むように何度も何度も――。

この日の夜はお互いのぬくもりを確かめ合うように抱き合ったまま、眠りに就いた。



「ンッ……」


カーテンから差し込む朝日に重い瞼を開けると、目の前には神さんの無防備な寝顔があって、思わず声を上げそうになってしまったのを、必死に堪えた。


そうだ私、昨日から青森に来ていたんだっけ。

覚醒していく頭。

そしてまじまじと寝息を立てて眠る神さんの寝顔を見つめてしまう。
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