次期社長の甘い求婚
あまりに大きな声に、一気に注目を集めてしまいギョッとしてしまう。
慌てて笑顔で手を振る人物の元へと駆け寄り、声を潜め訴えた。
「もー!! お父さんってばやめてよね毎回! 恥ずかしいって言っているでしょ!?」
遅れてきたことを棚に上げて、つい声を荒げてしまう。
するとお父さんはまるで叱られた子供のように肩をすくめ、「すまん」と漏らすとしょんぼりしてしまった。
その様子をお父さんの秘書である大和田さんは、可笑しそうに見守っていた。
* * *
「お父さんにお願いがあるの」
三年前。
お父さんに再会して三日後の夜、お父さんに初めて電話をかけた。
あるお願いをするために――。
お父さんは私の話を最後まで聞いてくれて、力になってくれると約束してくれた。
それから半月後、私は神さんに会いに行ったんだ。
最後に彼と、一生忘れられない思い出を作るために――……。
神さんと過ごした三日間は幸せだった。
このまま時間が止まってしまえばいいのに、と何度思ったことか。それくらい幸せだった。
どこかに出掛けたわけでもなく、日常の当たり前の生活を共に過ごせたあの時間を、今でも鮮明に覚えている。
慌てて笑顔で手を振る人物の元へと駆け寄り、声を潜め訴えた。
「もー!! お父さんってばやめてよね毎回! 恥ずかしいって言っているでしょ!?」
遅れてきたことを棚に上げて、つい声を荒げてしまう。
するとお父さんはまるで叱られた子供のように肩をすくめ、「すまん」と漏らすとしょんぼりしてしまった。
その様子をお父さんの秘書である大和田さんは、可笑しそうに見守っていた。
* * *
「お父さんにお願いがあるの」
三年前。
お父さんに再会して三日後の夜、お父さんに初めて電話をかけた。
あるお願いをするために――。
お父さんは私の話を最後まで聞いてくれて、力になってくれると約束してくれた。
それから半月後、私は神さんに会いに行ったんだ。
最後に彼と、一生忘れられない思い出を作るために――……。
神さんと過ごした三日間は幸せだった。
このまま時間が止まってしまえばいいのに、と何度思ったことか。それくらい幸せだった。
どこかに出掛けたわけでもなく、日常の当たり前の生活を共に過ごせたあの時間を、今でも鮮明に覚えている。