次期社長の甘い求婚
そしてお父さんとは、今ではすっかり仲良しだ。
昔過ごせなかった時間を取り戻すように、忙しい合間を縫って東京からこうして会いにきてくれている。


* * *


「近くにね、パスタが美味しいお店ができたの。そこでもいい?」

「美月が行きたいところでいいよ」


会うとお父さんは終始デレデレ。


けれど、誰よりも私のことを想ってくれている。


神さんに私の居場所が分からないよう手配してくれたし、就職先や引っ越し先も一緒に探してくれた。

今でも毎日のように連絡をくれて気遣ってくれている。



「美味しいでしょ?」

「あぁ」


あれからパスタ屋にやってきて、お父さんと注文したパスタに舌鼓を打つ。


「どうだ? 仕事の方は。もう三年近く経つし、慣れてきたか?」

「うん、おかげさまで。それにみんないい人だし」

「それはよかった」
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