次期社長の甘い求婚
転職して三年。

最初は戸惑うことばかりだったけれど、今ではすっかり仕事にも慣れてきた。
それはもしかしたら、彼が同じ職場にいるからかもしれないけど。


「お父さんも変わりない?」

「あぁ、ないさ。今は大学を卒業した息子が少しずつ手伝ってくれているからな」

「……そっか」


会ったことはないけれど、私には四歳下の弟がいる。

大学を卒業後、すぐに会社を手伝うなんてきっと優秀な子なんだろうな。



その後、近くのショッピングモールで買い物をしたりしているうちに、時間はあっという間に過ぎていき、お父さんが帰る時間を迎えてしまった。


「次に会えるのは二ヵ月後……かな」

「そっか。仕事忙しいんだね」


家の前まで送ってもらい大和田さんが待つ中、お父さんと別れるのが名残惜しくて立ち話をしてしまっていた。


「あぁ、アイツに色々と教えることが山ほどあるからな」


困ったように話しているけれど、どこか嬉しそうに見えるのは私だけだろうか。


「でも、もし困ったことがあったら遠慮なく連絡するんだぞ。……なにがあってもすぐに飛んでくるから」
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