次期社長の甘い求婚
思いもよらない告白に、動揺を隠せない。


「小野寺さんがそばにいてくれたら、きっと毎日笑って過ごせると思う。……絶対に幸せにするから、小野寺さんのために仕事も頑張る。……俺と結婚してくれませんか？　結婚して俺と会社を継いでほしい」


「鈴木主任……」


力強い眼差しに、嘘を言っているようには到底見えない。……じゃあ本当なの？　本当に鈴木主任は私のことが、好き？　結婚って――。


理解すればするほど、顔が火照っていくのが自分でも分かった。


そこにタイミングよく沸かしていたやかんが沸騰し音を鳴らした。
慌てて火を止めるものの、顔を上げることができない。


だってこんな展開、誰が予想できた？
確かに鈴木主任のことは好きだった。でも今は違う。


昔のように一緒に過ごせて幸せ。それだけだったのに、まさか結婚なんて……。


どう反応したらいいのか分からず顔を伏せてしまっていると、彼は力ない声で「ごめん」と
呟いた。


「急にびっくりしたよね。しかも場所がこんなところとか」


慌てて顔を上げると、鈴木主任は今にも泣き出してしまいそうに眉を下げ、それでも無理して笑っていた。

その姿に胸がギュッと締め付けられてしまう。


「いいえ、そのっ……！　すみません、突然で驚いてしまって……」
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