次期社長の甘い求婚
どうにか言葉を返すと、鈴木主任はまた「ごめん」と呟いた。
「でも嘘でも冗談でもなくて本気だから。……ゆっくりでもいいから、考えてくれないかな? 俺との将来のこと」
鈴木主任との将来――。
「……はい」
頷くと安心したように肩を撫で下ろし、「着替えてくるね」と言いながら、そそくさと給湯室を出ていった。
その姿を見送りながら思いを巡らせてしまう。
ずっと憧れていた。
鈴木主任となら、平凡でも穏やかで幸せな生活が送れるだろうと。
それが夢だった。
それに彼のご両親は優しくて素敵な人だ。
私を本当の娘のように可愛がってくれているし、なにかと気遣ってくれている。
一度は好きになった人だもの。……この先もずっと一緒にいたら好きになれるはず。
それに結婚して大好きな職場のみんなと一緒に仕事をしていく、なんて素敵な未来じゃない。
私がずっと望んでいた幸せなはず。
なのになぜだろうか。
どうしても神さんの顔が浮かんでしまうのは――。
もう神さんは私のことなんて好きじゃないのに。他に恋人がいる人なのに。
苦しい思いを抱えながらみんなの分のお茶を用意していった。
「でも嘘でも冗談でもなくて本気だから。……ゆっくりでもいいから、考えてくれないかな? 俺との将来のこと」
鈴木主任との将来――。
「……はい」
頷くと安心したように肩を撫で下ろし、「着替えてくるね」と言いながら、そそくさと給湯室を出ていった。
その姿を見送りながら思いを巡らせてしまう。
ずっと憧れていた。
鈴木主任となら、平凡でも穏やかで幸せな生活が送れるだろうと。
それが夢だった。
それに彼のご両親は優しくて素敵な人だ。
私を本当の娘のように可愛がってくれているし、なにかと気遣ってくれている。
一度は好きになった人だもの。……この先もずっと一緒にいたら好きになれるはず。
それに結婚して大好きな職場のみんなと一緒に仕事をしていく、なんて素敵な未来じゃない。
私がずっと望んでいた幸せなはず。
なのになぜだろうか。
どうしても神さんの顔が浮かんでしまうのは――。
もう神さんは私のことなんて好きじゃないのに。他に恋人がいる人なのに。
苦しい思いを抱えながらみんなの分のお茶を用意していった。