次期社長の甘い求婚
ハッと我に返り答えると、副社長はクスリと笑みを漏らした。


「一郎と同じように主人も私も美月ちゃんのこと好きだから、つい応援したくなっちゃって。今の忘れてくれてもいいからね」


そう言うと副社長はまたテキパキと商品を箱に詰め始めた。
右へならえで私も作業を再開するも、考えてしまうのは鈴木主任のことばかり。


告白されてから二週間が経つけれど、鈴木主任はいつも通りに接してくれている。

一切返事を急かすようなことを言ってこない。


そこにまた彼の優しさを感じてしまっていた。


それに鈴木主任は私が仕事を辞めた理由を、一度も聞いてくることはなかった。
そして神さんとのことも――。


それも鈴木主任の優しさなんだと思う。


告白をされてからというもの、同じ事務所内にいた松田さんによって一気に広まってしまったものの、いつもの如く冷かしてくることはなかった。


鈴木主任が本気だったからかな。
今は温かい目でみんな私達のことを見守ってくれている。


鈴木主任はもちろん、ご両親も一緒に働く仲間もみんな素敵な人で、きっと本当に鈴木主任と結婚したら、私は一生幸せな毎日を過ごせると思う。


告白されてから嫌でも昔のように鈴木主任のことを意識しちゃっていて、このままずっと一緒に過ごしていたら、気持ちは再燃すると思う。
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