次期社長の甘い求婚
私も前に進めるかもしれない。
神さんへの気持ちを絶ち切って、今の幸せを永遠にして――。



『最近気温の変化が激しいが、体調は崩していないか? 大丈夫か?』

「大丈夫だよ。それにそこまで私、身体やわじゃないし」


この日の夜、電話をかけてきたのはお父さんだった。
相変わらず過保護で開口一番に心配してくる始末。


そんなお父さんに口元を緩ませられながらも、耳を傾ける。


『それならいいが。……どうだ? 最近、なにか変わったことはなかったか?』


ドキッとしてしまった。

変わったことありまくりだもの。


すぐに「なにもないよ」と言おうとしたものの、思い留まる。


もしこの先、鈴木主任と結婚する未来を選択することになったら、いづれお父さんにも話すことになる。
それに相談してみたくなった。

お父さんは私が結婚することについて、どう思っているのかを――。


『美月、どうかしたのか?』


何を言わなくなってしまった私を心配し聞こえてきた声に意を決し、事の経緯を話していった。
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