次期社長の甘い求婚
チラッと隣に座る鈴木主任を見ると、彼もまた私を見つめていて目が合った。


「っごめん」

「いっ、いいえ」


お互いバッと視線を逸らし、顔を赤らめてしまう。

意識してしまう、どうしても鈴木主任のことを――……。


しばしお互い視線を逸らしながら飲んでいると、見兼ねた松田さんが間に割って入ってきた。


「もーなに? ふたりして初々しいわね、まったく! ここはテレビでも見て落ち着きなさい」


そう言うと近くにあったリモコンに手を伸ばし、テレビをつけた。


とてもじゃないけれど今は、テレビを見たいって気分じゃないんだけどな。


でもさっきから痛いほど感じるみんなの視線が、少しでもテレビに向かいかもしれないから、つけてもらってよかったのかもしれない。


つけられたテレビに視線を向けた瞬間、目を疑ってしまった。


嘘……どうして?


「あらやだ、この人って確か……」


一緒にテレビを見ていた松田さんが気付き、声を上げるも耳に届いてこない。

だってテレビに映し出されているのは、神さんだったのだから。

インタビューに答えている様子に目が釘付けになってしまう。
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