次期社長の甘い求婚
昨夜、電話でお父さんにも報告済み。
涙ぐみながらも話す中、お父さんは口を挟むことなく最後まで聞いてくれて一言『分かったよ』と。
そして『明日、久し振りにふたりで美味しいものをいっぱい食べよう』と言ってくれたのだ。
亜紀の結婚式は明日のお昼頃から。
上京すると伝えると、お父さんに前日から来なさいと押し切られ、こうしてやってきたのだ。
「えっと、たしかプリンスホテルだったよね」
お父さんから送られてきたメールを頼りに、懐かしい東京の街を歩いていく。
亜紀は彼女らしく、怒っていた。
『なんであんたはいつもいつも、自ら幸せを手離すことばかりするのよ』って。
もちろんその言葉の裏には愛情がたっぷり隠されていることは、嫌でも分かっている。
『思い出の品、持ってきなさい。私が一気に処分してくるから』そう言ってくれた彼女に甘えて、神さんの物を全部持ってきた。
明日、式が終わったら亜紀に手渡すつもりだ。
いつまでも手元にあると、未練がましく忘れられないと思うから。
鈴木主任に言われたけれど、私には神さんに気持ちを伝える勇気なんて、出せそうにない。
だったらもういっそのこと開き直って、このまま一生独身でもいいかな? なんて思ってしまっている。
どんなに頑張っても忘れられないのなら、そうするしかないじゃない?
ひっそりこっそりひとりで幸せに生きて、神さんを想って生涯をまっとうするのも、悪くないかもと思ってしまった。
涙ぐみながらも話す中、お父さんは口を挟むことなく最後まで聞いてくれて一言『分かったよ』と。
そして『明日、久し振りにふたりで美味しいものをいっぱい食べよう』と言ってくれたのだ。
亜紀の結婚式は明日のお昼頃から。
上京すると伝えると、お父さんに前日から来なさいと押し切られ、こうしてやってきたのだ。
「えっと、たしかプリンスホテルだったよね」
お父さんから送られてきたメールを頼りに、懐かしい東京の街を歩いていく。
亜紀は彼女らしく、怒っていた。
『なんであんたはいつもいつも、自ら幸せを手離すことばかりするのよ』って。
もちろんその言葉の裏には愛情がたっぷり隠されていることは、嫌でも分かっている。
『思い出の品、持ってきなさい。私が一気に処分してくるから』そう言ってくれた彼女に甘えて、神さんの物を全部持ってきた。
明日、式が終わったら亜紀に手渡すつもりだ。
いつまでも手元にあると、未練がましく忘れられないと思うから。
鈴木主任に言われたけれど、私には神さんに気持ちを伝える勇気なんて、出せそうにない。
だったらもういっそのこと開き直って、このまま一生独身でもいいかな? なんて思ってしまっている。
どんなに頑張っても忘れられないのなら、そうするしかないじゃない?
ひっそりこっそりひとりで幸せに生きて、神さんを想って生涯をまっとうするのも、悪くないかもと思ってしまった。